【レンドルvsメチージュ】

 

※データはATPより引用
Ivan Lendl (USA) vs. Miloslav Mecir (CZE)
1986-03-10 Milan Indoor Carpet SF Ivan Lendl (USA) 7-5 6-4
1986-08-25 U.S. Open Hardcourt F Ivan Lendl (USA) 6-4 6-2 6-0
1987-02-23 Key Biscayne Hardcourt F Miloslav Mecir (CZE) 7-5 6-2 7-5
1987-04-27 Hamburg Clay F Ivan Lendl (USA) 6-1 6-3 6-3
1987-05-25 Roland Garros Clay SF Ivan Lendl (USA) 6-3 6-3 7-6
1989-01-16 Australian Open Hardcourt F Ivan Lendl (USA) 6-2 6-2 6-2
Ivan Lendl (USA) leads 5:1
Hard: Ivan Lendl (USA) leads 2:1
Clay: Ivan Lendl (USA) leads 2:0
Grass: Tied 0:0
Carpet: Ivan Lendl (USA) leads 1:0

【チェコ出身同士の対戦】

レンドルの5勝1敗。

2人はグランドスラムの決勝で2度対戦しており、いずれもレンドルが勝利している。
レンドルは1992年に帰化したので表示上はアメリカになっているが、
元々はもちろんチェコの選手だ。

2人が最初にグランドスラムで決勝を戦った1986年の全米は、
正にチェコ旋風の吹き荒れた大会だった。
男子決勝だけでなく女子の決勝もチェコ人同士の顔合わせとなった。
メチージュは、ビランデルベッカーを次々に撃破して決勝に進出した。

また、メチージュが全仏で最高成績を収めたのは1987年だった。
この時準決勝にまで駒を進めたが、やはりレンドルに敗北を喫した。
ウィンブルドンでの最高は1988年の準決勝で、この時はエドバーグに敗れたが、
グランドスラム上位進出のほとんどをレンドルに止められていることになる。



【ビッグ・キャット】


メチージュといえばそのフットワークで知られた選手だ。
どんな球でも拾うので「ビッグ・キャット」と呼ばれた。

基本的にはグランドストローカーだが、
穴のない選手なので、どんなコートでも戦うことができた。
グラスでもクレーでも勝率がほとんど同じ(66%台)という成績は珍しい。
それを証明するかのように、メチージュは1987年に4種類全てのコートで優勝している。
グランドスラム4大会全てで準決勝に進出しているのも立派だ。

 
また、メチージュスウェーデンキラーと呼ばれた。
特にビランデルには強く(というかビランデルはいろんな人によく負ける)対戦成績は7勝4敗だった。
1988年のウィンブルドンでは、この年ビランデルがグランドスラムで喫した唯一の敗戦を与えている。
エドバーグにも同じく1988年にソウルオリンピックで勝利した。
この年は64年ぶりにテニスがオリンピックに復活した年で、注目度も高かった。
しかし、キャリアトータルではエドバーグに5勝10敗と大きく負け越していた。
1988年ウィンブルドンでビランデルを破った直後に準決勝で対戦して敗れているし、
引退を決めた最後の試合、1990年のウィンブルドンでも相手はエドバーグだった。

年齢は26歳で、かなり早い引退だった。



【プレースタイル】


サーブは強くなかった。むしろフォームは弱々しく見えた。
サービスダッシュもこなしたことから、球そのものがそれほど弱かったわけではなかったとは思えるが
回転量が多かったわけでもなく、やはりサーブで主導権を握るタイプではなかったといえるだろう。

ボレーは安定しており、
ストローカーとしてはネットプレーもそつなくこなした選手だった。

グランドストロークは緩いトップスピンを基本としたスタイルだった。
時折ハードヒットも見せたが、合わせる感じのショットが非常に上手かった。
安定感があり、最高の武器であるフットワークも活かしたので
粘りの打ち合いには強かった。


この後、更に強烈な印象を与えるマイケル・チャンが登場するまで、
間違いなくテニス界最速の選手だったといえる。



【他のストローカーとの対戦】


レンドルは、メチージュとのストローク対決では圧勝だった。
それでは、他の代表的なストローカーとの対戦はどうなのだろうか。

対戦成績
ビラス10勝5敗
ビランデル15勝7敗
ゴメス17勝2敗
ディブス8勝0敗
ヒゲラス4勝0敗
フィバック9勝0敗
ソロモン7勝1敗
アガシ6勝2敗
クーリエ4勝0敗
チャン5勝2敗
ムスター4勝1敗

やはり強かった「レンドルvsボルグ」でも述べたが、
その時代最強のストローカーは、同時代のストローカー同士の対戦において絶対的に強い。
その意味でレンドルは間違いなくボルグ後の最高のストローカーだったといえる。


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