ビーバー Heinrich Ignaz Franz von Biber (1644-1704) |
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ハインリヒ・イグナツ・フランツ・フォン・ビーバー Heinrich Ignaz Franz von Biber |
ボヘミアの作曲家。 バロック後期から古典派にかけてボヘミアは大量の優秀な音楽家を世に送り出した。 ビーバーはその先駆者とも言うべき存在である。 当時随一のヴァイオリニストで、ヴァイオリンを中心とした器楽曲で名を馳せた。 その詳しい経歴はあまりわかっていないが、おそらくは土着とも言うべき ロマ(ジプシー)ヴァイオリンの演奏様式を早くから身に付けており、 それに高度な学問的作曲技法をプラスして 独自の音楽観を完成させたのだろうと見られている。 |
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《生涯》 |
ボヘミアのヴァルテンベルクに生まれた。 早くからオーストリア最高のヴァイオリニストと称されていた シュメルツァーと親交があり、 そのシュメルツァーに作曲を学んだと考えられている。 ヴァイオリン音楽は当時イタリアが国際的に高い評価を獲得しており オーストリアでもイタリア様式のヴァイオリン音楽が支配的であった。 しかしビーバーはそれを覆す活動を行うことに成功し、 最高のヴァイオリニストとしての評価を不動のものにした。 1671年からはザルツブルクで活躍し、 1679年には副学長、1684年には宮廷楽長に就任した。 以後死ぬまでこの地位にあった。 1690年には貴族に叙せられているからその信頼はよっぽど厚かったのであろう。 |
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《スコルダトゥーラ》 |
図)楽譜:ロザリオ・ソナタ 独墺系のヴァイオリニストとしては当時異例の高い評価をもらった人物である。 国際的に正統派とされていたイタリア音楽とは趣の違う音楽を作っている。 先にも述べたように、その原点はロマ(ジプシー)音楽と考えられており そこでの経験が自由な音楽表現を生み出す元になったとされている。 ビーバーのヴァイオリン音楽の特徴として上げられる技法に 「スコルダトゥーラ(変則調弦)」がある。 これは楽器本来の調弦とは違う調弦を行って 独自の響きを生み出す技術のことである。 師であるシュメルツァーも用いた手法だが ビーバーが更に推進させたことで知られている。 「ビーバーといえばスコルダトゥーラ」 と言っても良いほどの密接な関係になっており 代表作「ロザリオ・ソナタ」や「技巧的で楽しい合奏」などで使用している。 また重音奏法やアルペッジョの多用などに イタリア音楽とは根本的に異なる作曲技法を確認することができる。 奏法や技法だけでなく曲の様式においても多彩さを見せた。 学究的な音楽や、技巧的な音楽など正統的な曲を作っている傍ら 遊び心に満ちた標題音楽も多く世に送り出している。 高等教育だけでは到達し得ない独自の世界観こそが ビーバーの音楽の魅力といえるのではないだろうか。 |
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《声楽曲》 |
図)ザルツブルク大聖堂 ヴァイオリン器楽と並ぶビーバーの重要な音楽に大規模声楽曲がある。 当時のザルツブルクではおそらく華やかな典礼が好まれていたのであろう。 ビーバーは多くの大掛かりな声楽曲を手掛けている。 中でもかつてイタリアのベネヴォリ作とされていた 53声のザルツブルクミサは当時としても異例の巨大な編成によるミサ曲である。 ビーバーの声楽曲は金管の華々しいファンファーレ的な響きが特徴で 非常に輝かしく聴き応え充分である。 |
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