作環境:プレイステーション本体/デザエモンPLUS/メモリーカード(1枚)
デザエモンはシューティングゲーム作成ソフトである。もともとはスーパーファミコンで発売されたソフトで、これをベースに機能をいくつか付け足してプレイステーションに移植したのが、このデザエモンPLUSだ。自機や敵機はもちろん、背景や音楽まで自分で創ることができる夢のようなソフトである。 |
発売前、このソフトを雑誌で見て真っ先に浮かんだアイデアがマクロス7を題材にシューティングゲームを創ることだった。ファイヤーバルキリーを自機として、BGMはもちろんファイヤーの曲。自機がパワーアップアイテムを取るとミレーヌ機とレイ&ビヒーダ機が味方にオプションで付き、BGMの音色もパワーアップの段階とともに増えていく。ステージはマクロス7のストーリー通りに進むが、ラストのボスは初代マクロス&ミンメイにしよう、などなど……。色々とアイデアが浮かんだ。 |
しかし、実際いじってみると、かなり機能が限定されていることがわかり、がっくり来た。まず、音楽ソフトが貧弱。選べる音色は32種で、これはまあ良しとしても、トラック数は2、小節数は16。それにコードをつけて、リズムタイプ(ある程度の楽器がすでに打ち込まれている)を9種類の中から選ぶ。これでは思うように曲を打ち込めない……。設定できる音楽は、タイトル画面、各ステージの通常時、各ステージのボス戦、ステージクリア、ゲームオーバー、全ステージクリア、と14曲しか創れない。で、パワーアップ時のオプション追加やBGMの変更などは出来なかった。創れるステージ数も全部で5。うーん、なんだかなー。 |
とにかく製作開始。根性で音楽を打ち込み始める。幸いマクロス7の曲は楽譜を持っていたので入力は楽だった。繰り返しを端折ったり、サビだけの曲になったりと、まあアレンジには苦労したがそれなりのものは出来た。
さて問題はグラフィックだ。リアルロボット路線と言われるジャンルに入るマクロスシリーズだから、相当な描き込みが必要。しかし、自分には絵心が無い! まあ、背景は既存のグラフィックを使おう。それに自機のバルキリーはちっちゃいからいいにしても、ラスボスのバカでかいマクロスをドット絵でなんか描けない〜っ! 挫折した。 |
さて、お次のターゲットはゲキガンガーだった。
「熱血ロボゲキガンガー」とは、'96年10月から翌年3月までテレビ東京で放映されたアニメ、「機動戦艦ナデシコ」の劇中アニメである。ノリは'70年代のスーパーロボットアニメの王道。キャラクターやメカのデザイン、ストーリーや設定、作画方法、演出までを'70年代風に仕上げた意欲作だ。(後に作られたビデオ版では、ヤマトの主題歌で有名なささきいさおに主題歌を歌わせる徹底ぶり)はっきり言ってナデシコ本編より、はるかに面白い作品であった。 |
ゲキガンガーを自機とし、群がる敵はリアルロボット軍団! 最初のステージはガンダムが敵! 稚拙なグラフィックで、なんとかガンダム、ジム、ガンキヤノン、ガンタンクを描く。しかしボスキャラはホワイトベースなどと考えてしまったばかりに、またも地獄の巨大ドット絵作業。なんとか根性で描き切る。が、ここで力尽きた。ザブングルなども描いてみたが、やはりロボットをドット絵で描く作業は疲れる……。なにせラスボスはあの巨大なイデオンにする予定だったのだから。まったく反省の色が無い。音楽の出来が良かっただけに製作中断は残念である。(だったら根性入れて創れ) |
で、お次のターゲットがハミング・バードだった。マクロス7の音楽を打ち込んでいたときに、お遊びついでにハミングの曲も打ち込んでおいたのだ。最初自分の頭には、ハミングとシューティングゲームの接点が無かった。(当然ではあるな)ハミングのメンバーに殺生をさせるわけにも行かんわな……。実際、ハミングを主人公にしたとして、じゃあ敵になるキャラはなんなのか? という問題があってゲーム化は中ぶらりんになっていた。 |
が、ある日アイデアが浮かんだ。自機はメンバーの3人。弾丸ではなく音符を撃つ(サウンドを浴びせる?)。敵(?)としてハミングに襲い掛かるのは、興奮した熱狂的なファンの連中。そんな群衆に音符をぶつけて(サウンドを浴びせて?)、感動させ、悶絶させる。うん、これなら行ける! 3度目の正直ってヤツだ。とーちゃん、おれはやるぜぃ!(2度あることは3度あるとも言うぞ)
やはり自分には絵心が無い。前2作の経験を活かし(?)絵は限りなく手を抜き、子供の描いた絵本のような世界観を創るよう心掛けた。いや、実際それぐらいの絵心しかないのだ。 |
このゲーム、見た目はシューティングゲームでも、実際は今までに無いジャンルのゲームだ。言うなれば、ハミングのメンバーが世界を駆け巡り、歌を通して人々に感動を伝えるゲームである。プレイヤーはほとんど何もしなくてもいい。敵が出て来るわけでもない。シューティングゲーム特有の破壊によるカタルシスなどとは程遠いゲームである。いや、ゲームと呼べるかどうかも疑問だ。各ステージの構成や登場キャラは、ほとんどがハミングの曲に関係のあるものだ。プレイヤーは、ただその世界観と流れるハミングの曲を楽しむだけ。はっきり言ってファンじゃなければ、これっぽちも楽しくない。そう、これはファンのファンによるファンのためのゲームなのである。 |
つづく