【対決!ベッカーvsエドバーグ】

 

※データはATPより引用
Boris Becker (GER) vs. Stefan Edberg (SWE)
1984-10-15 Cologne Indoor Hardcourt R32 Stefan Edberg (SWE) 6-4 6-4
1985-01-21 Philadelphia Indoor Carpet R32 Stefan Edberg (SWE) 6-3 6-1
1985-04-29 Las Vegas Hardcourt R16 Boris Becker (GER) 6-3 6-7 6-2
1985-12-20 Davis Cup (WG-F) FRG vs. SWE Indoor Carpet RR Boris Becker (GER) 6-3 3-6 7-5 8-6
1986-04-07 Dallas Indoor Carpet SF Boris Becker (GER) 7-6 7-6 4-6 7-6
1986-08-11 Toronto Hardcourt F Boris Becker (GER) 6-4 3-6 6-3
1986-10-20 Tokyo Indoor Carpet F Boris Becker (GER) 7-6 6-1
1986-12-01 New York Indoor Carpet SF Boris Becker (GER) 6-4 6-4
1987-02-16 Indian Wells Hardcourt F Boris Becker (GER) 6-4 6-4 7-5
1987-08-10 Montreal Hardcourt SF Stefan Edberg (SWE) 6-2 6-4
1987-08-17 Cincinnati Hardcourt F Stefan Edberg (SWE) 6-4 6-1
1988-03-28 Dallas Indoor Carpet F Boris Becker (GER) 6-4 1-6 7-5 6-2
1988-06-06 London / Queen's Club Grass F Boris Becker (GER) 6-1 3-6 6-3
1988-06-20 Wimbledon Grass F Stefan Edberg (SWE) 4-6 7-6 6-4 6-2
1988-11-28 New York Indoor Carpet RR Stefan Edberg (SWE) 7-6 3-6 6-4
1988-12-16 Davis Cup (WG-F) FRG vs. SWE Indoor Clay RR Boris Becker (GER) 6-3 6-1 6-4
1989-05-29 Roland Garros Clay SF Stefan Edberg (SWE) 6-3 6-4 5-7 3-6 6-2
1989-06-26 Wimbledon Grass F Boris Becker (GER) 6-0 7-6 6-4
1989-10-30 Paris Indoor Carpet F Boris Becker (GER) 6-4 6-3 6-3
1989-11-27 New York Indoor Carpet RR Boris Becker (GER) 6-1 6-4
1989-11-27 New York Indoor Carpet F Stefan Edberg (SWE) 4-6 7-6 6-3 6-1
1989-12-15 Davis Cup (WG-F) FRG vs. SWE Indoor Carpet RR Boris Becker (GER) 6-2 6-2 6-4
1990-06-11 London / Queen's Club Grass SF Boris Becker (GER) 6-4 6-4
1990-06-25 Wimbledon Grass F Stefan Edberg (SWE) 6-2 6-2 3-6 3-6 6-4
1990-10-01 Sydney Indoor Hardcourt F Boris Becker (GER) 7-6 6-4 6-4
1990-10-22 Stockholm Indoor Carpet F Boris Becker (GER) 6-4 6-0 6-3
1990-10-29 Paris Indoor Carpet F Stefan Edberg (SWE) 3-3 ret
1991-10-21 Stockholm Indoor Carpet F Boris Becker (GER) 3-6 6-4 1-6 6-2 6-2
1992-02-10 Brussels Indoor Carpet SF Boris Becker (GER) 4-6 6-4 6-2
1992-11-16 Frankfurt Indoor Carpet RR Boris Becker (GER) 6-4 6-0
1993-01-04 Doha Hardcourt SF Boris Becker (GER) 6-4 6-4
1994-11-14 Frankfurt Indoor Carpet RR Boris Becker (GER) 6-7 6-4 7-5
1995-09-25 Basel Indoor Hardcourt QF Boris Becker (GER) 6-4 3-6 6-3
1996-01-01 Doha Hardcourt R32 Boris Becker (GER) 6-2 7-5
1996-06-10 London / Queen's Club Grass F Boris Becker (GER) 6-4 7-6(3)
Boris Becker (GER) leads 25:10
Hard: Boris Becker (GER) leads 7:3
Clay: Tied 1:1
Grass: Boris Becker (GER) leads 4:2
Carpet: Boris Becker (GER) leads 13:4

【ライバル?】

両者は、決して長期政権を築いたわけではなかったが、
ライバルとして頂点を競った間柄であった。
キャリアはほぼ互角であり、年齢も1歳差なので、常に対比させられた。

生涯勝率はベッカー77%エドバーグ75%、生涯勝利数は713806
生涯タイトルは4942、グランドスラムタイトルは6ずつと、
かなり拮抗した数字が確認できる。

両者の対決は通算35回行われた。
これは「レンドルvsコナーズ」に匹敵するもので、
お互いに長い期間トップに君臨し続けてきたことを表している。

しかし、直接対決ではベッカーの25勝10敗。

あまりにも差が大きい。まったくライバルとは呼ぶにはふさわしくない内容となっている。

ベッカーが勝つときは圧勝だった。エドバーグはなすすべも無く敗退した。
一方でエドバーグが勝つときは、なんとか接戦をものにするといった具合だった。
これでは「ベッカーのほうが強かった」の一言で片付いてしまいそうである。

しかし、必ずしもそうはならないのが面白い所だ。



【ベッカー圧勝のはずなのに】

 
何故か大事な試合ではエドバーグが勝つことが多かった。

まず何と言ってもウィンブルドンだろう。1988年から1990年まで3年連続で決勝を戦っており、
その印象が、2人がライバル関係であったという見方を強固なものにしていると言える。
ここでの対戦成績はエドバーグの2勝1敗だった。
他のグラスコートの大会ではベッカーの3戦全勝なのに、
何故かウィンブルドンではエドバーグが勝ち越しているのである。

また、2人がウィンブルドン以外で対戦した唯一のグランドスラムとなった1989年全仏では、
フルセットの末エドバーグが勝っている。
クレーコートでのみはエドバーグのほうが強かったのかと言えばそうでもなく、
その直前に対戦しているクレーの試合ではベッカーが圧勝している。

 
2人は数多く対戦しているものの、グランドスラムでの対戦は4回と少なかった。
同時代にトップを争ったライバルとしては物足りない数ではないだろうか。

例えば、「ボルグvsコナーズ」8回「レンドルvsマッケンロー」10回
「サンプラスvsアガシ」9回対戦している。
それらと比べてしまうと、2人は、常に勝ち上がる選手ではなかったのだと言える。

グランドスラム以外でも、
1989年の年末に行われたマスターズは両者の関係を良く表している。
この大会で両者は2度対戦したが、
ラウンドロビン(いわゆる予選リーグ)でベッカーが圧勝しているにも関わらず、
再戦となった決勝では、接戦となりエドバーグが勝利した。

これらを踏まえれば、本来ベッカー圧勝のはずなのに、
互角の間柄だと認識されるようになっていったのも納得できる気がする。



【両者が争った時代】

 
2人は共に1985年に初のグランドスラムタイトルを獲得した。
そして、それ以降ずっとランキング争いを続けた。
中でも、最も激しく争ったのは、レンドルも含め3強時代となった1990年以降であろう。

単純な区分けでは、ストロークのレンドル
ボレーのエドバーグ、両方できるベッカーという図式だった。
サーブの威力も踏まえ、特にベッカーが一番強いのではと言われた。
当時アガシ「現在のランキングはともかく、世界一はベッカーだと思う」とコメントしている。

ベッカーは、クレーコートでの適正も他の同タイプの選手よりも高いはずだった。
事実、クレー勝率はサンプラスより上だし、全仏でも3度準決勝に進んでいる。
しかしクレーコート大会では一度も優勝できなかった。どうも勝ちきれなかったようだ。
エドバーグはもとより、サンプラスでさえクレーでの優勝経験はあるのだが。

結局、この最も1位に近いと考えられたベッカーは、1位在位わずかに12週で、
エドバーグの72週に比べて、はるかに差をつけられる格好となった。
この結果からだと、今度は対戦成績とは逆で、
ベッカーエドバーグと1位を争った相手とは思えないということになってしまう。

1990年以降、それまで絶対の王者だったレンドルが後退していき、
続く世代にとってチャンスが到来した。
しかしこの大事な時に、本命のはずのベッカーは思うように結果が残せなかった。
時代の波に乗り損ねてしまったのだ。
急激にランクを上げたサンプラスが、その秘訣を聞かれたとき、
「ベッカーがランクを落としたから」と答えたのは印象的だ。

逆にエドバーグは、新時代の急先鋒クーリエサンプラスと共に
トップ争いを継続することができた。
そしてこの直後にサンプラスの時代が到来するのである。

これらを踏まえ、総合的に両者の力はほぼ互角だったと結論付けて構わないだろう。

 
2人は、80年代レンドル、90年代サンプラスという
2つの長期政権の狭間にあって果敢に戦った選手であったと言える。


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